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Posted by 株式会社 群馬webコミュニケーション at

2011年08月04日

古代に馳せる夢


発掘品・出土品・考古・・・なんていう言葉に滅法弱い。

ある日友人で骨董商のA氏がいつものようにやってきた。 
A氏は骨董市などに出没し禿げ頭に眼光鋭く、正にハゲタカよろしく目ぼしい骨董品を漁っている。
独特の風貌なので見かけた方もいらっしゃるかもしれない。
見た目はあんなだが気のいいやさしい男なのである。

A氏は、私好みを数点車に積みやってくるのだ。
次々に出される骨董品、さすが目の高いA氏だけあっていいものばかり、私の琴線に触れるものばかりだ。
でもその日はどうもいつもと違う。A氏の首にさがる薄緑色の玉が気になって仕方ないのだ。

山ちゃん(開店前からの友人はこう呼ぶ人が多い。六さんなんて呼ばれるより好きだ。)どれがいい? A氏がめんどくさそうに聞く。
どれもいいものばかりで・・・。 なんて答え品物を転がすが、玉が気になって仕方ない。
はいはい!忙しいんだから早く決めて! なんてA氏。

Aさん、その玉いくら? 突然の問いに、やっぱりな といった勝ち誇った笑みを口元に浮かべ・・・
これ?これは悪いけどだめ!この前拾ったものだから、妙に愛着があってね これだけは売れない! A氏はきっぱりと言い切った。

いつも手離れ良くなんでも売ってくれるA氏にしては珍しく頑なな態度だった。
それでも 欲しい欲しいと駄々っ子のように食い下がる私に、じゃあ 採取場所を教えるからと、地図を描いてくれた。

翌朝 昨夜からの豪雨がうそのようにあがり 快晴のなか地図を片手に私は出掛けたのだ。
意外と家からも近くあっけなく現場に到着、昔古墳だったという場所の散策に入った。
こんな広い場所で僅か数センチの石の玉など見つかるのか・・・。
なんて思ったその瞬間私の眼は一点に集中した。  玉だ! 低い斜面にその特徴あるフォルムが浮き上がっている。
手に取り泥をぬぐう。 正しく玉であった。 小枝を拾い穴に詰まった泥を取り除いた。 これこそ玉である!!
現場到着から僅か10分足らず。 玉は私に拾ってくれと云うかのようにいたのだ。
私は一人小躍りした。縄文人・弥生人のように・・・。それから2時間程その辺を見つけ回ったが何も拾えなかった。

A氏に玉を見せると開口一番 売ってくれ! ときた。
私は同じ理由で拒否した。 お互いニヤニヤしていたことだろう。 なんだか同じ体験をした同期の桜といった感じが流れた。

唯一つの非売品・・・、それは今でも私の胸にある。 たまにいきあうA氏の胸にもいつもの玉が・・・。
あれからもう何年も経ってしまった。

いまだにあの時のときめきは薄れない。

  


Posted by あんてぃーく 六 at 23:43